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            「ブリテンの王、セイバー(黒)!」 
「ブリテンの王、セイバー(白)!」 
「ふたりはセイバー!」」 
「闇の力のシモベ達よ!」 
「さっさとおウチに帰りなさい!」 
「ブラック・エクスカリバー!」 
「ホワイト・エクスカリバー!」 
「星から出来た聖剣が――」 
「邪悪な心を打ち砕く――!」 
「「セイバー・ノーブルスクリューッ!!」」 
 
 
 
「と、言う夢を見ました」 
 昼前、屋敷内の掃除を終えてのんびりと江戸前屋のドラ焼き(3枚目)を楽しんでいた私にライダーがそんな素っ頓狂なことを言ってきた。 
「それで、私にどうしろと」 
「ちょっと軽くアンリ・マユに飲まれて黒化してみませんか」 
「お断りします」 
「えー」 
「『えー』じゃありません。第一、白の方はどうするつもりですか」 
「イリヤスフィールが適任ではないかと」 
「とにかく却下です。もう二度と黒化しないと誓いましたので」 
「せっかくライガに頼んで服もそろえてもらったのに……」 
 凄く残念そうなライダー。 
 黒化するのはもうごめんだが、少しぐらいは付き合ってあげてもいいのかもしれない。 
 この世で生きることを選んだ、たった二人のサーヴァントだ。交流を深めることは大切かもしれない。 
 いえ、決してあのふりふりの服がちょっといいなあとは思っていません。 
「白の方なら付き合ってあげないでもありません」 
「しかし、イリヤスフィールは誰がどう見てもイメージカラーが白でしょう。彼女に黒は―――」 
「いえ、適任がいるではありませんか」 
「? 誰のことですか」 
 問われて私はその人物を指差す。 
 って言うか目の前の眼鏡の人物だが。 
 ぶっちゃけて言ってしまえばライダー。 
「わ、私にできるわけがないでしょう!」 
「しかし、この家でイメージカラーが黒の人物と言えば貴方しかありえない。さらに言えば、言いだしっぺが何もしないなど許されるわけがありません」 
「第一、私の背丈では衣装の寸法が」 
「大丈夫です。世の中にはもっと凄い、ぶっちゃけありえない体型で堂々と衣装を着ている人もいます。それに比べればなんら問題は無いでしょう」 
            「しかしそれは―――」 
            「そもそも、背丈どうこうを気にするなら最近のプリキュアにすればいいんじゃないですか」 
            「しかしそれだと、あと二人必要になります」 
            「この家には女性が多いじゃないですか」 
            「ふむ」 
             
             
             
             
             
             数分後、なにごとか言い合いながら追いかけっこをするサーヴァント二人と魔術師の姿があった。 
            「いいじゃないですか。リンだったらサンシャインの衣装もいけます! 大きなお友だちの間では一番人気ですよ!」 
            「いやだって言ってるでしょ!」 
            「サクラも協力して下さい!」 
            「絶対いやです! そんな恥ずかしい――」 
            「でも、あの番組は士郎もたまに見てますよ?」 
            「え?」 
            「ヒーロー番組の後の時間ですから。それに今ならメイン二人の片方です」 
            「桜! ちょっとその気になってるんじゃないわよ!」 
             
             
             
            「シロウ、見てるの?」 
            「まあ、たまにな。ちなみにイリヤは混ざらないのか?」 
            「なあに? わたしのコスプレ見たいの?」 
            「いや、そういうわけじゃ」 
            「わたしが魔法少女に変身ってネタは半オフィシャルでやられちゃってるから」 
            「ん? よくわからないけど、そうか」 
            「まあ、誘われたらやってもいいけどね」 
             
             
             
             
            「もうあれです、ぐちぐち言う姉さんは敵側の方でいいんじゃないですか?」 
            「なにをあっさり寝返ってるのよ! 第一ダークって言うならアンタのほうが適任でしょう!?」 
            「……詳しいですね」 
            「う、うるさいわね!」 
             
             騒ぎは当分終わらないようだった。 
             
             
            
             
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